2.1ウェイ トールボーイスピーカー PARC-Audio DCU-T112A DCU-171K2 KENWOOD LSF-555 の製作記

CONCEPT

引っ越しして使わなくなったスピーカーが置きっぱなしだったのでこれを利用して自作スピーカーを製作してみた。
トールボーイ型のスピーカーを前々から一度手に入れてみたかったので、この形を選択した。
今まで使っていたスピーカーはケンウッドのLSF-555。ハイコンポのスピーカーだが、造りの割に値段が安く音も良いと思う。
メインで使っていたのとは別にたまたまリサイクルショップで同じLSF-555を見かけたので、もう一セット買ってリアスピーカーとして使っていた。
これが引っ越し後に押し入れにしまったままというのも、なんかもったいないので、分解してパーツを再利用することにした。

MAKING

トールボーイ型にするとして、内部的にどうするか、市販のスピーカーをよく見てデザインを練る。密閉式、バスレフ式とバックロードホーン式と色々があるが、できるだけLSF-555のパーツを再利用したいのでバスレフ方式を選択した。
スピーカーユニットはPARC AudioのDCU-T112AとDCU-171K2を選択した。選んだ理由は黄色のコーンがなんだかステキ(笑)だったから。ツィーターは同じメーカーでそろえた方がいいかなという理由。このユニットは見た目はいいが、近くで見るとわずかに接着剤が染み出していたりしてそんなに綺麗ではないのが残念だ。

バスレフ式にすると決めたが、只それだけではおもしろくないので、中にウーファーを内蔵してみることにした。
つまり、見た目は2WAYのバスレフっぽいが、実は中に仕切り板があり、上半分は密閉式に近い形になっていて、下半分はバスレフウーファーという複雑な構造をしている。
しかも仕切り板は完全に区切っているわけではなく、若干の隙間を持たせている。これはダブルバスレフのような効果をもたらしてくれたらいいなぁというイメージでそうした。
こんな構造のスピーカーは見たこと無いのでなんと呼ぶべきか分からないが、2.1WAYとでも呼べば良いだろうか。

結果LSF-555からはウーファーと吸音材、バスレフダクト、ターミナルを再利用することにした。LSF-555のツィーターは取り付け器具が特殊で再利用するのは難しい感じがする。分解作業は実に大変。ウーファーは縁のゴムをはがせばあとはネジだけだが、バッフルが強固に接着されていてはずせないのでツィーターは手探りでネジを探して取らなければならない。強力な磁石がドライバーを吸い付けるので思うようには進まない。吸音材はタッカーで固定されているのでペンチで引き抜けばいいが、これも手探りだとなかなかやりにくい。バスレフダクトやターミナルはネジ止めだけ。二つやると結構時間がかかってしまった。

トールボーイスピーカの高さは耳に合うよう1100mm、奥行きはラックに合うよう300mm、バスレフポートは前に付ける形で決定した。手書きの設計図は何枚も書いた。 工作に関しては、日曜大工を趣味とする気は今のところ無いので使える工具が電気ドリルくらいと限られており、カットはすべて依頼して組み立てのみで製作できるよう設計。
カット業者に依頼する図面の製作にはFireworksを使用。これはWeb用の画像ソフトだが使い慣れているのでIllustratorより作業が早い。

手に入る板材の中から目に付いたのは2440mm×1220mmのロシアンバーチ材で、これを無駄がでないよう板取りし、スピーカーの板材カットで検索するとよく引っかかる3社に見積もりをだした。その中から一番安かったのは横浜の米屋材木店。カットと送料込みで3万円程度で、他の2社より圧倒的に安かった。もっとも他社は板材からして違うので厳密な比較ではない。注文してから3週間ほどして届いた板材の加工精度は実にすばらしい。段落ち加工もユニットにぴったりだった。仮組みしたときにぴったり吸い付くように四角い箱になるのは感動的。

まず側板に細板を接着するのだが、細いせいかソリが生じていた。手で強引に伸ばしながらタイトボンドでくっつける。このボンドは今回初めて買ったのだが、評判通り速くて強くて使い勝手が良すぎる。これがなければ完成しないんじゃないかってくらいに良い。その後前面と背面にネジ止め用の穴を開ける。この程度なら手持ちのドリルでも精度的に問題なく出来そうで、実際問題なく開けられた。

側板、底板、天板をそれぞれ接着している間にネットワークの方も作っていく。クロスオーバー周波数は3KHz、600Hz辺りを狙って高域・低域・超低域と3つに分ける。実際手に入る電子部品からするとちょっとずれるけども、厳密にやってもそんなに意味はない。組み立てには汎用の基盤を使ってみようかとも思ったが、パーツを直接つなぐ方が手軽なので、適当な電気コードを切って半田で固定する。サブウーファー用に使うユニットはインピーダンスも能率も不明だが、まあ極端にずれているとも思えないので組み上げてから考えればいい。

先のロシアンバーチ材だけでは内部補強用の板が不足するので、近くの東急ハンズにてラワン合板を追加している。内部用の板は見た目が悪くても安ければよいためこの板材にした。内蔵ウーファーユニットもこの板のひとつに取り付けられる。それにしてもロシアンバーチ合板とラワン合板の重さの差はかなり大きい。手にしたときのズッシリ感がまるで違う。
これらを準備したら背面と側面を接着する、前面は接着せずネジ止め式にして整備性を残すよう設計している。

またこの前面の板はすこし奥に引っ込むようなデザインにしてある。これはJBLの大きいスピーカー(詳しくは分からないが)を見てマネしたものでなかなか気に入ってるところ。もしかしたら将来保護ネットを張るかもしれない。
立ててみて思ったが高さが1メートル以上あると、とても大きく感じられる。実際、幅256mm、奥行き300mm、高さ1100mmのトールボーイスピーカーは市販品でも大きい方じゃないかと思う。

HEARING

材料が届いてからおよそ一週間ほどで音を鳴らせるところまで持ってきたので、さっそくつないで色々と聞いてみることにした。AVアンプはDENON AVC-2890。スピーカーケーブルはCOBRA 4S。
まずは「びんちょうタン」のサントラから。
…って、普通は生演奏のCDとかを使うべきだが、まずは音質よりもネットワークがちゃんと出来てるかの方が心配なのでコレ。
菩提樹と九官堂は良い曲ですね。ネットワークは問題なし。ちゃんとローカット、ハイカットが効いている。内部接続のコードは古い電気製品の電源コードを切って流用した。太さがちょうど良い。

箱にはまだ吸音材が入ってないので少しビンビン響いているような感じはする。吸音材はLSF-555に入っていた物に加えて、ハンズで手に入れたキューオンというペットボトルから作った吸音材を下側に詰め込んでみたらかなり大人しくなった気がする。バスレフポートからは50Hzの辺りですごく共鳴しているが音は小さい。ユニットの能率からすると低音は少なめになると思うが、特にLSF-555は低能率スピーカーだったし、ユニットのスペックが不明だがかなり音圧が小さいと思われる。それを箱に閉じこめて使おうというのだから益々低音不足になるようだ。まあサブウーファー自体は持っているし、おまけで入れたようなものだからこれでいいかな。黄色いウーファーの方は見た目通りというか軽やかな低音だと思う。
周波数特性を測定してみると意外にもフラットだった。ただ100Hzのところだけ急に低下する感じ。軽やかな低音と感じる原因はここにあると思うが、理由が分からない、定在波的な打ち消しが起こっているのかネットワーク回路に問題があるのか。
再生プレーヤー側でここらを持ち上げてあげればしっかりとした音になるからこれでもよかろう。ピュア的な考え方だとそんな補正は邪道かもしれないが、そこまでオカルト的に神経質になるのもアレだからこんなところで良い。
いずれにせよツィーターの能率がウーファーより高く調整しないといけないのでそれは後日改めて行う予定。

さて塗装の方はどうするか。真冬に塗装なんてやる気が起きないので暖かくなるまではこのまま…。2009.12.28日


ネットワークの調整

2010年が始まってそろそろ一月たつ。ネットワークの調整をしてみることにした。
今までネットワークは各パーツを直接くっつけていたが、今回はパーツが増えて複雑になるため、端材を利用してネットワークボードを作ることにした。
配線にはブリキの薄板を使用、これは10何年も前になんかの目的で東急ハンズで買ったもので、ほとんど使わずに道具箱の中に入れっぱなしだったのだが、まさかこの日になって役に立つとは思わなかった。木板には虫ピンで留めている。
パーツの配置を板のサイズに収まるようレイアウトするのはなかなか難しい、というか抵抗が大きすぎる。なんとか形にはなったと思うが…ハンダが汚い(´・ω・`)。久しぶりだしな。
配線なんて理論通りつながってさえいれば大丈夫だと思うが、汚いハンダを電流が流れたら音質低下しそうな気はする。まあそんな事は微細なレベルではあっても、人の耳で聞いて分かるほどの違いはあるまい。

アキバでセメント抵抗を購入し、ツィーターに-6dB程度となるようアッテネーターを組み込む。インピーダンス6Ωの場合はこれを3Ωと6Ωで作れる計算だが、買ったパーツは3Ωと5.6Ωだ。ちょっとレベル下げ過ぎかもと思ったが、本当に下げすぎてしまい中低音しか聞こえない。まるでAMラジオのようなもっさりした音になってしまった。
これではダメなので、ウーファーにも-3dB程度となるように抵抗を挟んでみたら実に良い具合に聞こえてきた。まあそもそもツィーターとウーファーの能率差はスペックシート的には2.5dBだからこんなもんだろう。なおウーファー側は1.8Ωと15Ωで組んでいる。

能率差を埋めるなら単にツィーターだけを-3dBにすればいい話ではあるのだが、サブウーファー部分の音量を相対的に強くしたいのでこんな感じになっている。
この試みはうまくいったと思うし、実際バスレフらしいズンとした重低音は出ているが、リスニングポイントではそれがあまり感じられない、部屋の壁際では感じるんだが、これはスピーカーの配置の問題だろうか。まだ試行錯誤は続く。2010.1.24追記